Oslo Uni Hospital

デザインを通じて、患者の生活を向上させる

Industry:

Healthcare

Office:

Oslo

Services:

Service design

オスロ大学病院は、サービスデザインの方法論を活用することで、乳がん検査の期間を3か月から7日へと劇的に短縮させ、日々不安を感じながら過ごしていた 患者に大きな安心をもたらしました。

かつて、乳がんの疑いのある女性がスカンジナビア半島最大のオスロ大学病院で検査を受けるためには、3か月もの期間待ち続けなければなりませんでした。そこでノルウェー・デザイン協議会が進めるDesign-Driven Innovation Program(デザインによるイノベーション促進プログラム)の後押しを受け、Designitは病院チームとの協力を通じて検査プロセスの最適化に取り組みました。

このプロジェクトの鍵は、共創的・視覚的・反復的なプロセスによって、病院スタッフとの密接なコ・クリエーションを実現したことでした。その結果、待ち時間の短縮とより良い体験の提供という本プロジェクトの目的を達成する新たな検査プロセスを生み出したのです。

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サービスを考えるいうこと、そして共創するということ

まず、スタッフ全員が検査プロセスの複雑さを理解し、共通認識を生み出すために病院チームとDesignitは、様々な部門のスタッフ40人を集めてワークショップを行いました。このワークショップを通じて、患者の代表的なユーザージャーニーをマッピングし、視覚的に描き出しました。

また、Designitは医師・放射線科医・放射線技師・看護師・コーディネーター・事務員・医院・一般開業医など、患者の検査プロセスに関係する様々な人物に対して深層インタビューを行い、患者のインサイトを得ました。

患者は身体に違和感を感じた時から、自らを患者だと認識しているのに対し、病院は検査開始時に初めて彼らを患者だとみなします。このようなインサイトを獲得していくことで、検査プロセスの最適化に向けた改善点の特定に至りました。

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このような気づきを通して、既存の検査プロセスを再考することを意思決定した病院は、理想的なユーザージャーニーを描き、既存のプロセスを根本から見直しました。また、チームは作成したユーザージャーニーに沿って、検査プロセスを短縮するためのソリューションを導き出し、スタッフを巻き込んだ共創ワークショップを開催しながら、シナリオやユーザースートリーという形でプロトタイプを作成していきました。

全てのソリューションは、患者の視点から表には見えないプロセスも含めて再考することを経て、患者の生活をより良いものにするために生み出されています。病院スタッフは患者の生活を支える非常に重要な役割を担っており、それを認識することが重要です。そのためには、病院は検査時間に関して患者がどのようなサービス体験をしているのかということに気づき、受け入れ、そして改善していくということが求められるのです。

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新たな乳がん検査センター

ノルウェーでは、患者はまず総合診断医のもとを訪れ、そこで紹介された大きな病院へと向かうのが一般的です。しかしすぐに大きな病院に行けるわけではなく、最低でも4〜5週間も待たなければなりません。そこで新しい検査プロセスでは、患者が総合診断医のオフィスを離れて病院へと向かうその時から、安心して病院のケアに身を任せられるような仕組が必要でした。そのために、総合診断医から病院への最短の道のりを用意し、少しでも早く診断結果を患者へと届けることが求められました。

最終的に、診断に必要な日数は3か月から7日に短縮され、以前では考えられないほどのスピードで検査を終えることが可能になりました。また、患者が総合診断医のもとを訪れたその当日に、検査の全体的な流れや、サポートが必要な際の連絡先などが記載されたパンフレットが手渡されるため、もう余計な不安を感じる必要はありません。患者がサポートにアクセスをした際などにも、病院側はバックエンドでその記録を確認することができるので、すぐに必要な対応を取ることができます。

病院での検査の当日にはすぐに放射線技師が出迎え、放射線医師による予備診断を受けることができます。そして、その翌日には検査を確定と、場合によっては治療プランの説明を受けるための次の予定がスムーズにスケジューリングされます。また、週に1回だった担当医によるミーティングも毎朝開催され、検査の4日後に判明する診断結果をこの場で確認することで、患者がより早く結果を受け取れるようになりました。

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賞を受賞したスタッフの共創

プロジェクト成功の鍵、それはDesignit、病院のプロジェクトチーム、そして病院のスタッフとの間に生まれた、理想的な形の「共創」でした。

また、共創のプロセスによって当事者意識を生み出しただけではなく、同時にプロジェクト開始時からの適切なトップ・マネジメントによって、最適なソリューションを生み出し、実装することができました。この組み合わせが、プロジェクトを通して患者の生活を向上させるという強い意志を、グループの中に生み出したのです。

この成功の結果、このオスロ大学病院の乳がん検査センターにおける検査プロセスは、ノルウェーにおける乳がん検査の標準プロセスとして2015年1月に紹介されました。またこのプロジェクトは、Norwegian Market for good design、Service Design Award、IxDA Awardにおいて、ディスラプティヴ部門、一般投票部門で受賞しています。2015年には最も大きなデザイン賞の一つであるINDEX:Awardのファイナリストにもなっています。

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