27 July 2015

なぜ企業はユーザーを巻き込むべきなのか?

最近「ユーザーのためのデザイン」や「ユーザーと一緒に創るデザイン」というキーワードをよく耳にします。
しかし新しい商品やサービスを創るために行われるユーザーリサーチは、未だに誤解・誤用されているケースがよく見受けられます。このことはユーザー中心のデザインを使う方法が、お金と時間ばかりかかるリターンの少ない投資だと思われてしまう原因の一つだと考えられます。そもそも「ユーザーリサーチにお金を払う必要があるのか」という疑問も発生するくらいです。
ユーザーを、インサイト、アイディエーション、インプリメンテーションというデザインプロセスの異なるステージに巻き込むことで、ユーザーのニーズに合った商品やサービスの開発ができ、そしてユーザーが日常的に使いたくなるものができるのです。

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あらゆるデザイナーやマーケッターが、イノベーティブな商品やサービス開発のインスピレーションとして個人のみのインサイトに頼っています。しかし、人の直感は限られたリソースであり、ある時は素晴らしいイノベーションを生み出すアイデアになるかもしれませんが、ほとんどの場合は実際のユーザーの生活にフィットしません。ユーザーリサーチを使えば、真のニーズを発掘し、今まで知りえなかった層からの声を聞くことができるようになります。

こういったメリットを享受するためには、いわゆるマーケットを代表するユーザーを調査するのではなく、普段の生活にニーズが最も反映されている「エクストリームユーザー(極端な使い方をしているユーザー)」を調査する方が好ましいと言えます。例えば、ネットショッピングの分野でのイノベーションを起こすためには、ネットショッピングを頑なに拒む人たちも観察・インタビューの対象とするべきです。彼らのボトルネックになっている問題は何か、どうやったら彼らがネットショッピングを楽しめるかなど考えることで、新しい気づきを得ることができるからです。

人々が普段何気に行っている行動からでもたくさんのインスピレーションが得られます。「はい」「いいえ」だけで回答できるような質問をするのではなく、彼らのありのままの日常を観察し、ユーザーが普段使っている様子、困っていること、又はしていない行動などを観察します。そこから本人達も気づいていない行動やニーズが拾え、新しいヒントを得るのです。インタビュー、エスノグラフィー調査、観察、シャドーイングなどの手法によって、ユーザーの日常生活における自然な振る舞いを観察することができるのです。

ユーザーリサーチを最も有効的に使うためには、プロジェクトの初期に行う必要があります。プロジェクトオーナーがまだ何をどのように解決すべきなのかアイデアが固まっておらず、プロジェクトの方向性を探っている段階にこそ効果を発揮します。

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イノベーティブなアイデアを考えるとき、あまり人に知られないようにこっそり進めたくなる気持ちも分かります。しかし新しいサービスや製品を考えるとき、皆が満足いくものを作るには、全てのステークホルダーを巻き込む必要があります。ステークホルダーには、製作担当者、宣伝担当者、事業担当者など、アイデアの実現までに関わってくるあらゆる人々が考えられます。特に実際に使ってもらうユーザーの参加は、より良い体験を創る上で重要です。

私たちが、エンドユーザーにアイディエーションのプロセスで入ってもらうのもこのためです。数時間、ユーザーや他のステークホルダーの方に集まってもらい、日常生活の課題を解決するソリューションについて一緒に考えます。そして、最終的な解決策へのイメージをもってもらうため、簡単なプロトタイプを作ります。

こういったセッションでは、完璧なアイデアは出て来ることはまれですが、ビジネスの目的や技術の実行可能性など、最終的なソリューションを形にする鍵となる基準を見出すことができます。

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ユーザー中心のデザインプロセスを使うことで、ビジネスの目的、技術的制約、マーケティング戦略、意思決定の仕組みなど、必要な情報全てを得ることができます。商品やサービスが、ユーザーを含むあらゆるステークホルダーを巻き込んで考えられたものだとしても、インプリメンテーションのフェーズではユーザーエクスペリエンスの質を妨げるたくさんの障害が待ち受けています。

ユーザーテストを何度も繰り返して改善していくことで、商品やサービスがユーザーフレンドリーで、実際のニーズに合ったものを創ることができます。

繰り返し行うことで、アウトプットはもっと良くなります。チーム全員が協力してフィードバックを元に商品やサービスの修正を行い、皆が完全に理解でき、使いやすいと思えるようになるまでこのプロセスを繰り返します。

デザインプロセスのそれぞれのステージでユーザーに関わってもらうことは、アイデアを見つけ、膨らませ、ユーザーのニーズと合致するものを創る最善の方法です。そしてユーザーにとって本当に意味があり、価値あるイノベーションを作るために非常に有効なものなのです。

これらのポイントからも分かるように、きちんとしたタイミングとやり方で行われれば、ユーザー中心のデザインは決して時間やお金の無駄ではなく、むしろマーケットのニーズに合った商品やサービスを創ることに繋がり、貴重な時間とお金が節約できるのです。

イノベーションは、閉ざされたドアの中では起こりません。
外に出て、実際のユーザーとなる人々と話してみませんか?

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