16 October 2015

ドリンクストーミング: 孤独とテクノロジー

Designit Tokyoオフィスでは月に1度、デザイン、テクノロジー、未来に関するトピックについて、お酒を飲みながらディスカッションをする「Drinkstorming」を行っています。このカジュアルなイベントは、どなたでも参加でき、私達が日々デザインしている世の中に対しての不安、欲求などの意見を交換する良い場だと考えています。先週は「孤独とテクノロジー」についてのディスカッションをしました。テクノロジーによって、人はより孤独を感じるのか、それとも解消されるのか。

議論の内容を簡単にご紹介します。

“ソーシャル”という言葉は、昨今注目のキーワードであり、孤独に対する良い解毒剤のように思われていました。ソーシャルメディア、人々が情報交換を行うプラットフォーム、様々なコミュニュケーションサービスの増加と共に、孤独感は減少していき、課題は解決するものと思われていました。新しい人との出会い、または交友関係を持続させることが、以前よりもずっと簡単になりました。しかし、人との関わりをより多く持つことで、孤独感は本当に少なくなるのでしょうか。

「多くの人と交流ができるようになったが、その一つ一つが希薄になってしまった」

人々がオンラインでシェアする情報の多くは、本当の実生活というよりはむしろ理想の生活を投射しているようです。このホンモノらしさに欠けている人々のやり取りが、実態として、交流の量が増えても、質を低下させている要因になっているのではないでしょうか。

また、ソーシャルメディアは、消費に偏った方法で人間のやり取りを見る方法だとも言えます。私たちは、TVのチャンネルを変えるように他人のプロフィールを行き来し、話をしたい人といつでも連絡を取ることができます。一方で、対面でのやり取りは、相手のことに集中する必要があり、より自発性や偶然性が起こりやすいコミュニケーションの方法です。

最終的には、ソーシャルメディアは私たちをある意味でダメにしているのではないでしょうか。人に直接会い、話をすることは努力が必要とされるため、ソーシャルメディアの存在に慣れてしまった私たちは、その努力を惜しんでしまっているような気がします。

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「一人でいることと孤独を感じることは全然違う」

この二つの概念は似ているかもしれませんが、多くの場合、異なります。孤独感とは社会的に活発な生活を送っていても感じるものなのです。

私たちは、いつも忙しく、オンラインで繋がっている状態であるため、本当の意味で孤独になることは、稀であり、あえて孤独になることを楽しんでいる人たちもいます。過去を振り返ってみれば、スピード、成長、発展、量の多さなどを称賛し、超社交性を良いこととしてきました。しかし、ある時から私たちはスローライフ、つまり少ないけれどより良い関係・モノを再評価するようになるのではないでしょうか。

このトレンドが、食、遊び、趣味、娯楽などあらゆる場所で起きているのは間違いありません。人々は、物事に質や意味を求め始めました。。。が、それらをインスタグラムにアップします。この事実は少し皮肉でもあり、人々の考え方が、個人志向・意味志向になったにもかかわらず、未だに世界中の人たちにシェアすることで満足感を得ているのですね。映画「イントゥ・ザ・ワイルド」の結末は、「幸せは分かち合う時にのみ本物になる」という言葉で締めくくられていますが、あなたが一人でどんなに楽しい経験をしていても、その満足感というのは、他人が知った時に倍増する場合が多いです。他人にシェアしなければ、何も起こらなかったのと同然です。

一方で、他人とシェアしないことを誇りに思うこともあります。恋人だけに見せる写真は、1000人からいいね!をもらった写真よりも価値があります。

「もしかしたら、私たちは社会交流を必要としていないのかもしれません」

「ソーシャル」という言葉の価値にあまり価値がなくなっているのだとしたらどうでしょう。私たちが映画などで未来を語るとき、「Her」や「ウォーリー」のように多くはとても個人主義的で、孤独な世界を描いています。エンターテイメントのNetflixやオンラインショッピングにしても、AR・VRなどの仮想世界にしても、テクノロジーは、対面の交流することなしに一人で時間を過ごすことを助長しているようにも見えます。もしかしたら未来の人間は、社会的な生き物ではなくなってしまうのかもしれません。

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「孤独感とは相対的な概念である」

もしかしたら私たちは、比較をし、自分の状況が劣っている、交流が少ないと感じた時だけ 孤独を感じるのかもしれません。イベントの参加者の一人は、こう発言しました。「いつも無人島に一人でいる人は、他の人々と触れ合う機会を逃していると感じることがないため、孤独感を感じないかもしれません。もしその人が住んでいる周りの島が、一日中パーティーを行い始めたなら、孤独を感じ始めるのではないでしょうか。」

ソーシャルメディアは、他人の生活を覗き見、自らと比較する状況を作っています。そういった存在であるソーシャルメディアは、私たちが人生に望む期待値を上昇させ、それが故に、人生が思ったようにいかない、あるいは取り残されると不安を感じるといったソーシャル依存症を生み出しています。

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「現代人は感情に敏感になり、より孤独を感じるようになった」

言語というものには強い力があり、何かを名付けた途端に、そのことが本当のことであるように感じてしまいます。世界中で孤独について語られるようになってから、私たちは孤独についてもっと考えるようになり、より孤独を感じやすくなってしまっている側面もあると思います。「孤独は人間が持つ自然の感情なのだから、それとどのように向き合うかを知ることが重要だ」と参加者の一人は語ってくれました。普段空腹感と戦っているように。

おそらく、デザイナーは一人でいる時間を減らす商品を作るべきではないでしょう。物理的な商品であれ、バーチャルなものであれ、私たちは既にそういった商品をたくさん持っていますし、前に述べたように、こういった商品は結局人々をより孤独に感じさせてしまうのです。

私たちデザイナーができることは、孤独が自然な感情であることを受け入れ、孤独と付き合っていく術を身につけるお手伝いをすることでしょう。1日に人々と交流する機会を増やすよりも、自分自身と自身の生活を見つめることの方が、良い方法のような気がします。

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今回も参加者してくださった皆さま、ありがとうございました。 フランクで自由闊達なディスカッションとなり、あっという間に時間が過ぎていく素敵なイベントになりました。次回のDrinkstormingでも多くの方とディスカッションできるのを楽しみにしております。参加者を希望される方はtokyo@designit.comまでご連絡ください。

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